摂食障害とアルコール依存を孤独・自傷から見る 鶴見俊輔と上野博正のこだまする精神医療

大河原昌夫

2,300円 +税

ISBN: 978-4-7554-0343-9        2023年11月17日発行

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摂食障害と薬物・アルコール依存は家族と社会の葛藤をどのように写しているのか。
恩師と仰いだ二人の哲学者、精神科医の語りを反芻しながら臨床風景を語る。

摂食障害とアルコール依存を孤独・自傷から見る 鶴見俊輔と上野博正のこだまする精神医療
目次

第1章 精神科医になるまで  7
 1 記者生活と臨床医  7
 2 臨床医として  9
 3 勤務医の楽しさ  11
 4 「思想の科学」との出会い  12

第2章 家族と秘密  14
 1 不登校の少年と親  14
 2 子どもの秘密・背負わされた家族の秘密  17
 3 子どもの秘密を盗み見る親  20
 4 背負わされた記憶と殺意  21
 
第3章 自傷と自死に向かう人 26
 1 リストカットと自責  26
 2 封じられた、他者への批判  29
 3 境界性パーソナリティーと自傷  31
 4 「連合赤軍事件」の時代  33
 5 腐敗する、現在の日本の殺意  36
 
第4章 長期入院の人々との出会い 39
 1 一九九〇年代の福島県浜通り  39
 2 Cさんの退院  41
 3 現在の精神科事情  45
 4 病院で覚えた漢字とダンス  51
 
第5章 父の肖像 56
 1 家族会と穏やかな父  56
 2 医師が書くとき  63
 3 私の父  64
 4 有能でない人々  69
 
第6章 精神科の習慣 73
 1 他科受診  73
 2 紹介状の往来 77
 3 見舞いと面会 82
 4 外からの電話 86
 5 お薬と先生 89
 
第7章 アルコール医療の教え 92
 1.アルコール病棟の成り立ち、男と女  92
 2 入院中の飲酒  98
 3 徒党を組む・贈り物を届ける  100
 4 説教と約束の責任  102
 5 一〇〇%の被害者はない  105
 6 親切は救いか  107
 7 生きる人、死ぬ人  108
 8 回復の物語−病気はいつまで続くのか  110

第8章 なだいなだの教え 108
 1 論じられない人  108
 2 医師としてのなだいなだ  120
 3 不安な人間が神を創造した  124
 4 なだいなだのスタイル  130
 5 なだいなだで満たされないもの 134
 6 狂気と戦争  139
 
第9章 薬物依存症者への愛 144
 1 薬物依存症とは  144
 2 薬物依存症との出会い・再会  147
 3 薬中になる自由と回復の道  155
 4 薬物依存症者の消える日と死刑  159
 5 ノルウェー国王の自由と日本の天皇の孤独  164
 6 憎しみと和解  167
 
第10章 摂食障害と家族の風景 171
 1 卓袱台と家族の戦後  171
 2 家族への記憶  176
 3 摂食障害とは  182
 4 沈黙からの解放と発病  184
 5 発病で失うもの。見えるもの  190
 6 摂食障害と自己評価  192
 7 再び、家族について  196
 8 消えていった人々  200
 
第11章 思春期の受診・援助職 206
 1 若者の自傷  206
 2 援助職とは何をする? どんな人ができる? ピアサポートでの注意は?
      :摂食障害のピアサポートグループ•ナバへの回答  214
 3 AA常任理事で学んだこと  218
 
第12章 正解を求める強迫−摂食障害で看護との対話を考える  223
 1 窮屈な食卓 223
 2 家族の持つ負い目 225
 3 すれ違う家族・子どもと出会わない家族 229
 4 子どもへの尊敬  233
 5 正解のない看護  233

第13章 鶴見俊輔の教え  239
 1 サークルの中の出会い  239
 2 誉めること・フィクション  245
 3 個人としての悪人と国家の悪としての冤罪  249
 4 誤解する権利。理解される甘え  255
 5 人をどこで見るか  263
 6 病的ロイヤルティー  266
 

  初出一覧  271
  あとがき  272