戦後日本〈ロームシャ〉史論

松沢哲成

3,000円 +税

ISBN: 978-4-7554-0302-6        2020年02月10日発行

数量
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

下層から照射する歴史学へ。ファシズムを分析し、70-80年代のフレームアップ事件と闘い、ラジカルに生きた歴史家の遺作。「寄せ場」という下層社会から戦後日本の社会・経済構造を分析した新たなる戦後史。

目次
はじめに 
首都圏の寄せ場——歴史的変遷の概要………………………7
1 一九世紀後半頃から二〇世紀初頭頃の山谷 7
2 第一次大戦後から昭和恐慌を経た頃 16
3 日帝敗戦以降――首都圏の寄せ場の戦後史 28

第1章
敗戦前後における日本社会の変容と持続………………… 53
1 被治者の精神態度 54
2 敗戦前後の石炭不足と労務動員 75
結びに代えて 86

第2章
戦後日本史論の試み—闘いが胎むもの、押し潰す力、そして…97
〈ロームシャ〉から見る戦後史 99
1 労務供給制度の「民主化」、労基法、職業安定法、同規則の制定 99
2 戦後寄せ場の成立とゼネコンの甦生、重層的下請制度の確立へ 110
3 いわゆるニコヨン中心の職安闘争――その意義と限界 119

第3章
日帝敗戦以降の日雇労働者と寄せ場……………………………139
1 占領体制を支えたもの 139
 一 依然猛威を振るう労働力調達の官僚=機構 139
 二 下支えとしての運輸機構――国鉄と日通を中心に 151
2 戦後初期における寄せ場の形成 161
 一 寄り場と寄せ場――その違いについて 161
 二 初期寄せ場の相貌 166
 三 結論に代えて 185

第4章
朝鮮戦争と日本——〈ロームシャ〉の立場から視た……………197
朝鮮戦争に対する日本の軍事的関与 198
1 「進駐軍労務」 198
2 朝鮮戦争への直接参加――旧海軍・軍人主体の機雷掃海作業 205
3 朝鮮戦争時の「労務」 214

第5章
貨物輸送と臨時労働者—季節出稼ぎと路上手配・日雇労働への照射…235
1 日通における″“ 本工” 的作業員」の特徴 236
2 各店所の諸例――日通における「臨時」「日雇」「組夫」 241
3 農林漁家季節出稼者について 251
終わりに 275

第6章
「冷戦」体制下の〈日本本土〉と〈沖縄〉………………………287
1 巨大独占土建資本の形成 287
2 沖縄の基地網と米帝の極東戦略 294
3 沖縄・奄美住民、離農に追いやられるも、日雇労働者として奮起 309

松沢哲成の歴史眼
「オーラル・ヒストリーの先駆け」から─伊藤一彦……329
「アジア主義は検討に値する」を提唱─藤田 進……332
編集後記─中西昭雄 336
著者略歴 341